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さて、ここからはサイドカーまつりです。
実は昨年秋のミーティング。イエローペリル(黄禍)の回で、浅間の名物男の1人である某氏から、サイドカーオーナーに春はサイドカーでデレガンスを埋用!との呼びかけがあり、それがさまざまなルートから拡がって、集まったのが私を含めた12台。
現場では「それならそれと早く言ってよ!」って怒られもしましたが、伊達や酔狂の軽いノリは、浅間ミーティングの信条でもあるわけで、それが無ければ記念館も出来なかっただろうと思うので、良しとして下さい。段取りばかりが能じゃ無いよね?
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ホンダ CB750+皇宮警察SC 736cc 1974年
正式には「皇宮警察本部警護用側車」乗っているのは警察官では無く「皇宮護衛官」と呼ばれるそうです。現在はGL1800ベースのサイドカーが使用されており、右カーと左カーがそれぞれ2台ずつ。4台がワンセットで皇族方の4輪車の四隅をカーを外側にして護衛するのが通常のパターン。
色は黒と白があり、黒いのが公式行事用。白いのが通常の皇族がたの警護用と言うことらしいです。
どういう経緯かはともかくも、民間に払い下げられたのは、浅間名物の1台以外確認出来ません。
それはともかく、ミーティングで何回もお見かけしているわけですが、バランスが良さそうで、カーの乗り心地も良さそう。結果4速になっているそうですが、何よりバックギアが羨ましい。
余談になりますが、ある時のミーティング。前日時間があったので、うちのカーチャンと2人で白糸の滝によったら、皇太子殿下の後行幸におまみえし(言葉の使い方あってるかな?書いていて舌噛みそうになってますが)、警備の警察官から「拝謁するなら沿道でどうぞ、その気が無いならとっとと移動しなさい。」って言われたことがありました。
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ピアジオ P200E+SC 200cc 1978年
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ピアジオ P200E+SC 200cc 1982年
今回の言い出しっぺと、乗せられて準備不足でミーティングに参加して中々たどり着けず、結果偉い目に遭った人のベスパサイドカー。
4年の時を経て、全く変わって無いというところがさすがはピアッジオ。見た目のかわいさとお手軽(に見える)ところから、結構人気のモデルです。茨城の海岸リゾートでも結構見かけたりします。
昨年の夏、お父さんのベスパサイドカーに乗った小さな息子さんとお嬢さん(年長さんぐらいかな?)が、私のサイドカーに一生懸命手を振ってくれたのを思い出しました。たのしそうだったなあ。
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ヤマハ ビラーゴ+SC 249cc 1994年
250ccクラスのサイドカーは、法規上145cmと言う車幅制限に納めなければなりません。初めから専用設計のフレームに組み込んだフュージョンカッパーのようなコンプリートマシンならともかく、舟後付けでバランスを取るのには相当な技術力と手間がかかります。バランスが取れていないサイドカーは、徹底的な腕力強化マシンになってしまうのは良くある話。私が10代の頃、始めて乗せてもらったサイドカーは全くバランスが取れてなくて、曲がろうと思ったら外側の手を返してハンドルを握り、満身の力を込めて押してやらないと曲がらない。と言うとんっでも無い代物で、こんなもん乗れるか!と思ったのを覚えています。後年岡山のO森さんに、バランスの取れたサイドカーってこうだよ。って言う実体験をさせてもらって目から鱗が落ちました。
さて、このビラーゴはどうなんでしょう?毎回遠くからやってきて、ミーティングを盛り上げてくれるオーナーさんですから、きちんとバランスが取れているのでしょうね。
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BMサイドカー群はまとめて一緒にデモ走行となりました。私もその中に混じっているわけですが、ここだけの話、一緒に走るの結構楽しかったですよ。
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BMW R12+スタイプ 750cc 1935年
R12は、サイドカー云々以前に、世界で始めてフロントサスペンションにテレスコピックフォークを採用したモデルの1台。として記憶されるべきモデルでしょう。テレスコビックのフロンのサスを始めて実用化したのはBMWなんですね、空冷サイドバルブ2気筒の745ccで18ps。
82年前のオートバイで、横浜から自走で浅間にやってくる。と言うのがどれだけの大冒険か想像が付きますか?
私が浅間の前にこの組み合わせでお会いしたのは御前山の星降る里。水戸のご老公の隠れ家でした。これも相当な冒険旅行。その上、和の職人さんであるオーナーさんはミーティングの時点で69歳。今年めでたく古希を迎えられました。
と言うわけで、車齢がご老公と同じ82歳、ドライバーのお歳が69歳。82+69=151歳。ご老公では無くて、実はこちらが本当の最年長車賞でした。
粋人であられるオーナーさんは、パッセッンジャーの衣装持参で走行を演出。宮崎アニメの1シーンのようでしたね。
某雑誌で「お嬢さんに衣装を着せて・・・」とあったのには笑えました。お嬢さんではありません。人妻です。
え、人妻にコスプレさせて悦に入ってる?まあ、何と聞こえの良い。m(_ _)m
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BMW R75/5+大陸 745cc 1972年
この組み合わせ、実は王道中の王道。バランスの良さも天下一品です。その昔、今は無きマウンテン牧場でミーティングをやっていた頃。何かの都合で中には入れなかった時に、二輪走行のパフォーマンスで場を持たせたことがありましたよね?突然そんなことを思い出しました。
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BMW R75/5+ワトソニアン 900cc 1972年
R75/5で900cc?と思われるでしょうが、その分オーナーさんの手が入ったカスタム。という事です。
サイドカーを所有する。って言うことは、それぞれ独自のワンオフを所有するって言うことでもあるのです。フロントをアールズに換装すると言っても、オリジナルのパーツを付けたり69Sから移植したり。オーナーさんの好みやセンスが現れます。
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BMW R100RS+クマガヤ 980cc 1977年
で、私のR100RS。身体を痛めて大型バイクが支えられなくなって、悩んでいたら、R100RS+EMIのオーナーさんから紹介されて、我が家にやってきたのがこいつ。
その後私の身体がぶっ壊れていくのにあわせてカスタム。足首の動きが鈍くなれば、踏み込むだけでシフト出来るパーツを作り、ブレーキペダルも大きくし。と言った具合に少しずつ高速車椅子〈またはシルバーカー)化しています。
それとは別に、エンジン等の部品はBMWですから困らないのですが、アールズフォークやカー関係は絶版物やワンオフ物なので工夫が必要。タイヤもサイズは3つバラバラ。そんなこんなでとっても楽しめています。
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BMW R100RS+EML 980cc 1977年
私をサイドカーの世界に連れて行ってくれた張本人がオーナーさん。エントリーリストには「R100RS+クマガヤ」となっていますが、これは多分私のとごっちゃになったためと思われます。本当はオランダのEML社製の専用フレームにエンジンやらミッションやらを組み込んだ別物です。
私のR100RSはBMWオリジナルですから、比べてみれば違いが良くわかるはずです。
ベテランと一緒に走ると勉強になるのはサイドカーも一緒。最近は中々一緒に走れてませんね。
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BMW R65+ワトソニアン 650cc 1972年
前オーナーが名工の手に預けて組み上げた車両。走っている様子を見ただけで、バランスの良さがわかります。
先ほどからバランス、バランスとうるさいかも知れませんが、サイドカーを楽しもうと思ったら、如何にきっちりとセッティングが出せるかどうかにかかっている。という事でもあるのです。自分であれこれ出来る人もいますが、殆どの場合、良いメカさんと巡り会えるかどうかが、楽しめるかどうかとイコールだと思って下さいね。
ところで今回一緒に走った5台のうち、私のだけが左カー。残りは全部右カーでした。みなさん右回りの周回コースで結構カー持ち上げて遊んでいたようですが、私だけ遊べなかった。ちょっと寂しい。
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JAWA TS350+SC 350cc 1988年
こいつはレアですねえ。チェコ製の「ヤワ」。2サイクル2気筒350ccですが、基本設計は1950年代。あんまりサイドカー向きじゃあない気がするんだけどなあ。メジャーなバイクでいらっしゃることの少ないオーナーさんらしいと言えばらしいのですが。
付いている舟はどうやらビラーゴと同じもの。という事は、車幅145cm以下なのかな?
帰り道で会場から、千ヶ滝のENEOSまで後ろを走らせていただいたのですが、ハンドリングが重そうで、カー側へのコーナリングが大変そうに見えたけど、どうだったのでしょうか。
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TRIKING トライキング 850cc 1977年
スリーホイラーの位置づけってなんなんだろう?後1輪駆動だから、「これはサイドカーだ!」って言い張っているのだろうと思っていたんだけど、どうもそういうわけでは無いらしい。
調べてみると、「サイクルカー」という分類が排気量1100cc以下で、チューブ径60mm以上でミッションとクラッチが付いている事。と言う基準で1番近いかも?
主にヨーロッパでの話ですが、色々と安上がり。丁度日本の軽自動車みたいですね。実際、このクルマのメーカー名は「Triking Cyclecars Ltd」・元ロータスの社員が、モーガンを買収しようとして失敗し、自分で立ち上げた会社。という事です。
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だから、こいつがサイドカーかどうかと言うと?ではあります。
でも、前2輪の後1輪駆動で、フロントエンジンだから、きっと大オーバーステアで軽量だから、乗っては面白いんでしょうね。
今回は思うところも色々あって、ミーティングから大分時間が経っちゃいました。春はノンジャンルですから、どんどん出て見て下さい。見ているだけより、結構楽しいですよ。
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